明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
私は詳しく知らなかった一般ピープルなので、今回軍艦島に行くにあたり下調べをしました。
軍艦島=世界遺産ではないんですね。実はそんな事も知らずに軍艦島に行ってみたい(行っておきたい)と思ってました。
世界遺産は以下8県11市の施設で世界文化遺産として登録されています。全部で28施設ですね。これ全てで世界遺産ということです。知らなかったー。
[エリア1: 萩] (山口県萩市)
1-1 萩反射炉
1-2 恵美須ヶ鼻造船所跡
1-3 大板山たたら製鉄遺跡
1-4 萩城下町
1-5 松下村塾
[エリア2 鹿児島](鹿児島県鹿児島市)
2-1 旧集成館
2-2 寺山炭窯跡
2-3 関吉の疎水溝
[エリア3 韮山](静岡県伊豆の国市)
3-1 韮山反射炉
[エリア4 釜石](岩手県釜石市)
4-1 橋野鉄鉱山
[エリア5 佐賀](佐賀県佐賀市)
5-1 三重津海軍所跡
[エリア6 長崎](長崎県長崎市)
6-1 小菅修船場跡
6-2 長崎造船所第三船渠
6-3 長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン
6-4 長崎造船所旧木型場
6-5 長崎造船所占勝閣
6-6 高島炭坑
6-7 端島炭坑
6-8 旧グラバー住宅
[エリア7 三池](大牟田市、熊本県荒尾市、熊本県宇城市)
7-1 三池炭鉱・三池港
宮原坑 (大牟田市)
万田坑 (熊本県荒尾市/大牟田市)
専用鉄道敷跡 (大牟田市/熊本県荒尾市)
三池港 (大牟田市)
7-2 三角西港 (熊本県宇城市)
[エリア8 八幡](北九州市、中間市)
8-1 官営八幡製鐵所
旧本事務所 (北九州市)
修繕工場 (北九州市)
旧鍛冶工場 (北九州市)
8-2 遠賀川水源地ポンプ室 (中間市)
タイトルにも有るように、明治日本の産業革命に関わった施設が対象ですね。そのため、大正以降の施設は対象ではないそうです(これも知らなかった)
エリア3の韮山反射炉は鉄腕!DASH!!でお馴染みのもの。あれと軍艦島はセットっていうことです。
また、長崎県は8施設も対象がある地となっています。軍艦島ツアーではこのいくつかを見ることができます。
また長崎造船所は三菱重工のことで、全て三菱重工の敷地内にあります。
6-4 長崎造船所旧木型場は史料館になっているので、見ることはできますが、他は外から見るしかありません。軍艦島ツアーで幾つかを船の上から見ることができます。後で紹介します。
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軍艦島上陸ツアー
さて、軍艦島に向かいたいと思いますが、軍艦島への上陸は以下の5社に限られているそうです。
以前は上陸率を競っており、大型船の優位で軍艦島コンシェルジェが一番良かったようですが、2021年4月1日より長崎市が桟橋利用の制限つけたため、実質は全ての運行会社の上陸率は同じとなりました(船長判断で若干の差はあると思いますが)かなり厳しめの基準ですので、接岸時間の状況の差ぐらいだと思います。
天候基準をクリアする日数が年間100 日と想定されています。
桟橋の利用を禁止する場合の基準
1. 風速が秒速5 メートルを超えるとき
2. 波高が0.5 メートルを超えるとき
3. 視程が500 メートル以下のとき
※上記範囲内においても、見学者が安全に下船できないと船長が判断するときは、桟橋を利用しないものとする。
上陸率が3割ぐらいになるって事ですね。かなり厳しい事になりましたね。
台風の時期や気圧配置の谷間に当たるような時期は注意が必要です。
個人的な特徴を書いておきます。ご参考までに。
軍艦島コンシェルジェ
ここは横揺れを抑制するスタビライザー付の大型船で行けます。
プレミアムチケットなどで優先搭乗もあり、以前の上陸率は一番高いです。軍艦島ミュージアムも運営しており、上陸出来ない時の代替えはそこそこかと。唯一クレジット支払いが可能です。
シーマン商会
大手4社の中では一番船が小さいです。私でも操船できます。そのため揺れは大きくなります。
他の船が近くを通過するだけで揺れます。船酔いの激しい方はご注意を。
軍艦島クルーズ
船がカッコ良い(それ違う)
高島の会社が運行していますので、途中高島にも寄ったりします。
高島炭坑も世界遺産のひとつです。
6-6 高島炭坑
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やまさ海運
こちらも大型船です。
早割とかで少し安くなります。
アイランド号
アイランド号は地元の釣り船で連れて行ってくれるもので、長崎から最寄り漁港まで移動も必要なため、候補から外しました。
私は元々GWの際には軍艦島コンシェルジェで予約をしていました。上陸率と大型船ということで。嫁さんが船に弱いので揺れが激しいとやばいかなと思ってですが、上記の条件となると大型船と小型船のアドバンテージは少なくなり、厳しそうな時はキャンセルするだろうから、逆に小型船のほうが乗船時もスムーズだし、早く行けば酔いにくい席を抑える事も出来るので、今回はシーマン商会で予約しました。
軍艦島がニュースで話題に
ちょうど軍艦島に渡る前日にニュースになっていました。政治的な話はするつもりはありませんが、この話がでたらめってのは調べればわかること。それをこんな記事にするのもバカメディアやってる事なんでどうでもいいのですが。
上陸出来るかの判断
軍艦島は上でも書いたように、波高や風の状況で上陸許可がでるかに関わります。船長判断は余程の急変じゃないと接岸中止をしないと思いますので、この条件がクリアできるかがポイントです。
1. 風速が秒速5 メートルを超えるとき
2. 波高が0.5 メートルを超えるとき
3. 視程が500 メートル以下のとき
そのため、数日前から気象予報や波の高さとかチェックしていました。
今回は沖縄に台風が来ていますので、その風やうねりが心配です。軍艦島の気象情報はありませんので、近くの高島のでチェックです。
午前の部は10時30分出航ですので、波の高さは5~60cm、風速4m程度でギリギリ大丈夫そうです。後は運ですね。
この段階で、風速10mとか、波高1mとかであれば、予約をキャンセルして諦めるか翌日に掛けるかですが、翌日は更に悪くなるのが確認出来ていましたので、多分大丈夫、ダメならダメで今回は諦めるかという方針にしました。
このくらいの波高なら嫁さんも酔い止めで大丈夫そうで、以前神島に行くとき波高1.5mでギリギリ耐えれたので。
高島のリンク張っておきます。行くときはチェックしてみて下さい。
いよいよ軍艦島に向かいます
ホテルからは歩いて5分です。早く行けば先に席が押さえれそうですので、9時30分の受付開始より早く向かいます。10分前に着きましたが他には3組ほどでした。
受付開始になりましたので、船に向かいます。受付、支払いは船内で行います。
受付後は席を確保して出発までは船外でも良いとのことです。嫁さんは桟橋で待機して私は写真をパチパチと。
今回の船はさるくⅡ号
船としては120名乗れますが、船室は席をあけてのソーシャルディスタンス仕様、船外はオープンなため通常席です。
石炭の記念品です。
席は一番後ろの右側です。これは港湾内で造船所が右側になるためです。
酔いやすい人は出来だけ後ろの真ん中寄りがおすすめです。一番揺れが少ないです。
それでは出航です。
対岸には173番イージス鑑『こんごう』が点検のため?停泊中でした。
海上自衛隊が保有するイージス鑑は8隻あり、その初号鑑です。1隻1700億円ですね。
こんな近くで見れるとは思いませんでした。マニアックですいません。
CIWS(ファランクス)は隠されていました。毎秒60発とか出るバルカン砲です。両サイドにある2つのパネルぽいのはSPYー1レーダーで、これがイージスの盾の中核になってます。
こんごうの後ろには見たこともない艦船がありました。砲台もなく『3』という番号だけ。ネットで調べると今年の3月に進水した新造鑑でステルス仕様だそうです。装備などは進水してから装備するんですね。まさに工事中でした。
レーダーに写りにくいようにのっぺりしてますね。
ここから、世界遺産のいくつかを見ていきます。
6-3 長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン
このクレーンはイギリス製で日本で最初の電動クレーンです。明治42年製。
6-2 長崎造船所第三船渠
大型船を造るために山を切り開いて作ったドックです。明治38年製。
このドックの右側に海からは見えませんが長崎造船所占勝閣があります。
6-1 小菅修船場跡
日本の造船の基礎となった、グラバー邸のグラバーさんや薩摩藩の重鎮らで作った日本最初のドック。明治元年製。
NO2バース(埠頭)
ここからは世界遺産ではありませんが、見所です。
この奥に赤く錆びたクレーンがあります。
これが大戦時に戦艦武蔵を造ったドックとクレーンです。今は使っていないそうですが、大切に保管されているようです。
こうやってみると大きさがわかりますね。
カトリック神ノ島教会
船の上から説明してくれます。小さな島ですが立派な教会があります。
それだけこの地域でカトリックが浸透しているということですね。
The Virgin Mary statue on a Cape
更に海岸にはマリア像と共に鳥居があります。あらゆる宗教が入り混じったのが長崎の特徴だそうです。
三菱重工業長崎造船所 香焼工場
世界最大級の造船ドックです。全長1000メートル級でこのクレーンは1つで600トンを吊り下げる能力があるそうです。
ちなみにクレーンにある三菱のマークはテニスコートのサイズだそうです。
縮尺でとんでもないデカさですね。クレーンの横幅は200m以上ありますね。
ここではタンカーとかを造っており、ダイヤモンド・プリンセス号を作ったり、コスト・アトランチカの補修作業を行っていたそうです。
どちらもコロナ感染で有名になりましたね。
端島(軍艦島)へ
いよいよ軍艦島が見えてきました。
ぱっと見は要塞のようですね。
近くまで来ました。すぐには上陸せず、順番待ち&上陸許可待ちでぐるっと一周します。
一番端(北側)が学校だそうです。校庭はスペースが少ないので屋上が広場になっていたとか。
反時計回りでぐるっと回りながら、建物を説明してくれます。細かくは覚えていませんが、これは病院だったかな。
寺院があっそうですが、木造の建物は朽ちてなくなったそうです。
端島は元々二こぶの岩礁だったそうですが、これが南端の岩礁の残りです。
よく軍艦島が軍艦のように見えるとされるポイントだそうで、ここで写真を撮って上陸準備に向かいます。確かに軍艦ぽいですね。
本日は無事上陸許可がおりました。波もたってませんし、風も殆どありませんでした。ラッキー。
これが桟橋です。コンクリート製の浮遊ではなく、海底から岩板にコンクリート打って作っているそうです。これが3代目だそうです。波風で壊れるそうですね。
桟橋から端島へはこの橋を渡ります。以外に怖いですね。
端島に上陸しました!!
端島が世界遺産の説明です。
目の前にそびえ立ちます。この山は元々の岩礁の一部です。この周りを埋め立てて採掘場を整備し、住居を所狭しと建てていったようです。
水道は当初海水から作っていたそうですが、人口が爆発的に増えて生産が追いつかなくなったので、対岸の本土からパイプで給水したそうです。
一番上の施設は貯水槽だそうで、斜めに見える管が本土からの給水管だそうです。
端島が世界遺産になっている重要な要素がこの赤レンガの壁です。端島の建築物は大正から昭和に掛けてのものが殆どで、明治時代に作られたものは、端島炭鉱の総合事務所跡だけが明治時代に作られたものだそうです。
また、端島の最初の工事でもある、タイル張りの要壁部分も明治時代のもの。
世界遺産として登録されているのは『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』とあるように明治時代のものだけが対象とのこです。そのため、住居跡は世界遺産ではなく、この赤レンガとこのタイルだけ(坑道もですが)が世界遺産になっているそうです。
この建物は縦坑のエレベーターがあった所で、ここから地下636m(スカイツリー並)まで秒速8mで一気に降りる(落ちる)そうです。当時は世界最速だったとか。
階段が真っ黒なのは、炭坑で真っ黒になった工員が歩いたあとが未だに残っているそうです。
この階段の先はお風呂になっていて、3つの段階になっていて、一つ目の海水の浴槽に服のまま入って、炭を落として、2つめで汚れを落として、3つめでお湯のお風呂に入ったそうです。
これが日本最古の7階建て鉄筋コンクリート住宅で30号棟と呼ばれていますが、ご覧の通り日々崩壊が始まっています。
この姿を見ることが出来るのはそう長くありませんので、出来るだけ早く行くことをお勧めします。
徐々にあちこちが崩落し始めています。
太陽電池パネルがありました。監視カメラとか何でしょうかね。
端島自体はあまり写真を貼っていません。写真で見るより実物に勝るものはありません。
写真で残すものではなく、心で残すものって感じでした。軍艦島はそういうたぐいですね。
この日の午後は上陸できたそうですが、翌日は上陸できなかったそうで、ねらい通りでした。
ちなみにこの日は気温42℃あっそうです。そりゃ暑いはずだ。
軍艦島=世界遺産という短絡的な話ではなく、今回行くことで色々な事を知り得た良い機会でした。そんな感じ。
軍艦島だけでこんなになるとは思わなかったです。最後までお読みいただきましてありがとうございます。まだまだ長崎編が続きます。